2012/09/28

思い過ごしもコリのうち



こんにちは。
秋でございますね~
稲穂の上を滑ってくる風はとてもサラサラしていて心地良く、
見上げた空はいつの間にか随分碧く、
やけに高くなっています。
何もかもがどうでもよくなってしまうくらい綺麗な空だけど、
僕が何をどうしても色ひとつ変える事は出来ないんですよね~
無力感が幸福感に変わってゆくような今日この頃・・・
風に吹かれながら今日も少しお付き合いください。






(桜井市の笠地区 笠の蕎麦畑)
変な匂いで咲き乱れる蕎麦の花、今が見ごろで御座います。
名阪道天理ICよりR169経由、南へ15分、巻の内信号左折10分 
  近鉄・JR桜井駅からバス笠山荒神社口下車徒歩30分
なんて事書いてみたりして・・・











先日、友達にフィットネスクラブの優待券を頂きました。
無料でフィットネスマシーンなどが体験が出来るわけです。
しかも5日分あります。
そこそこな年数を生きてきた僕ですが、
今までそういう場所には一度も行ったことがないんですよね~
チョットと言うか、かなり恥ずかしいんですよね~何故か・・・

僕は今までフィットネスクラブって場所は、
ゴリゴリの筋肉マッチョが汗をダラダラかきながらダンベルを上げていたり、
眩し過ぎる笑顔で踊り狂う性別不明なエアロビックダンサーが飛び跳ねていたり、
大きな鏡の前で自分の筋肉をウットリ眺めているナルマッチョがいたりする、
むせかえるほど艶めかしい美の館のように思っていました。
そんなナルシスの館に僕みたいなひょうろくが紛れ込んだりしだら、
ゴリマッチョ達の哀れみと軽蔑の視線で、
ダブついた僕のお腹の肉がこむら返りを起こしてしまうかもしれません。
故に僕にとってそこは45年間未開の地であり、
それでいて、恐いもの見たさの魅惑の場所でもあったり・・・


そんな訳の分からない妄想で頭がいっぱいの僕を友達は完全に無視して、
半ば強引にナルシスの館に僕を引きずり込んだのでございます。
















ジムがあるのはビルの4階。
そこまでエレベーターであがります。
ん?そこはエレベーター使っちゃうんだ・・・
身体を鍛える為に来たのに、
階段ではなくエレベーターなんですね。
何だか矛盾してない?
どうせならのぼり棒で4階まであがりゃいいのに・・・・
それか今流行のフリークライミングだったか、ボルダリングだかで登ればいいんだ!
そんで落ちて怪我すればいいんだ・・・!
アイロニカルにブツブツ言う僕をまたまた無視して、
エレベーターに乗り込む友人。
いざ、扉の向こうは・・・・!

意外と地味だ・・・
受付のおねえさんは眩しく健康的なんですが、
汗まみれのゴリマッチョもいません。
鏡の前にはナルマッチョもおらず、
踊り狂うエアロビダンサーの足の音すら聞こえてきません。
その日は平日の昼間。
メンバー達は僕らのような中年のおじさん、おばさんが殆どで、
若い人はあまり居ないんですよね~
まぁ、考えてみれば当然なんですが、
実際この目で見るまでは、
思い込みってなかなか払拭できないもんです。
まぁ、僕の思い込みはかなりの劣等感まみれでしたけどね~


















豪華な筋トレマシーンの数々。
僕の家にある筋トレグッツの鉄アレイとは雲泥の差です。
(それは現在ドアストッパーとして非常に重宝しています。)
それにプールにサウナにジャクージに日焼けマシーンなどなど・・・
それらは優しく身体を痛めつけてくれます。
これなら僕も会員にな事を考えてみてもいいかもしれません。
が、しかし、
その日が平日の昼間ですから、
ジジババの憩いの広場みたいに落ち着いていましたが、
夕方になればゴリマッチョや、ナルマッチョがたくさんやって来て、
筋肉パーティーが始まるかも・・・
もしかしたらそこに居るヤングなメンバーやスタッフ達全員が、
いきなり音楽に合わせてエアロビダンスし始めるかも・・・!
ニコニコしながら飛び跳ねて、
バネみたいにぴょんぴょんこちらに飛んで来る!
眩しいっ!
笑顔が眩しいっ!
あぁ~
近寄らないでぇぇぇ~






















健全と言う名の暴力みたいな悪夢にうなされ、
目覚めた翌日の僕の身体は・・・

たった一日ですがほのかに筋肉がパンプアップしている!
筋肉痛も殆どなくとても軽やか!
何だか若返った気分です。
たるんだ腹さえ少し縮んで、
うっすら腹筋が見えているような幻が・・・!
あぁ~、僕はまだまだイケるんだ。
何がイケるのかはわかんないですが、
まぁ、自身がわいたっつう事ですかね。
これは本当に入会もアリかな~
などと、僕の中のナルマッチョがピョンピョンし始めたんですが、

が、しかし・・・




そのまた翌日の夜明け前・・・
掛け布団が重い・・・
それに何だか汗臭い・・・
ふと見ると掛け布団がゴリマッチョになっている!
ゴリマッチョ布団が何枚も重なってくる!
暑苦しい筋肉布団が
1枚~
2枚~
3枚~
重い~
暑い~
汗臭い~
はっ!敷布団もゴリマッチョだ!
あぁ~いやだな~
せめてシーツぐらい敷いてほしいな~
押さえつけられているみたいに手が動かない~
身体が動かせない!
重いよ~
ゴリマッチョいやだよ~
あぁ~
鏡に映る自分を見つめるナルマッチョが、
鏡越しにこちらを見てる!
怖いな~
いやだな~
さげすまれるな~
たるんだ腹がこむら返りしそうだな~
やだなぁ~
あぁぁぁぁぁ~


またまた劣等感という悪夢にうなされ目覚めた翌日。
かっ、からだが動かない・・・!
起き上がれない!
背中が布団に張り付いている!
腕はだるく、肩はゴリゴリ、
腰は機能停止で、
二本の足は大根をくっつけたみたいに異物感。
うっすら浮き上がった腹筋だぁ?
馬鹿言っちゃいけない!
そんなもの最初っから存在しね~よ!と言いたげにたるんでいる腹。

まるで泥人形のように横たわりながら思いました。
歳をとると本当に2日目に筋肉痛が来るんだな・・・
まだまだ若いなんて思い過ごし・・・
誰かに申告したわけでもないのに、
見逃しちゃあくれないんだなぁ~

背中がうずく時が肝心なのね~♪








2012/09/21

あの胃に帰りたい



こんにちは~
ちょっと御無沙汰してしまいました。
スミマセン・・・
ただただ、
スミマセン・・・
・・・・。
さて、
御無沙汰してる間にすっかり涼しくなっちゃいました。
夜なんか最高に心地よい秋加減です。
だけど山手ではセミがまだ鳴いてたりして、
何故だか少し切なくなったりします。

夕焼けが綺麗だったりしたら、
センチメンタルに涙でもながしながら、
昭和チックに何処までも追いかけてしまいそうな僕のブログですが、
今日も少しお付き合い願います~



















先日の早朝、
いい感じに夢を見ていると・・・
”あ~、
あ~、
早朝お休みのところ申し訳ございません、
ただ今マイクのテスト中~、
ただ今マイクのテスト中~”
などとスピーカーを通した、
へりくだりつつ非常にうるさい音に起こされてしまいました。
???
寝ぼけながら、
あぁ~、お隣で運動会でも始まったのかな~と窓から覗くと、
隣の家に白黒の鯨幕が張られていました。
お葬式の準備をしていたんですね~






今は止めちゃっているんですが、
僕が小さい頃そこの家は駄菓子屋さんでございました。
少年だった僕は小銭を握り締め足げくそこに通ったものです。
ある時は、不自然にカラフルな甘い液体を凍らせただけのチュウチュウ。
またある時は、明らかに身体に悪そうなストローに詰められたゼリー。
またまたある時は、冷蔵庫に入れてないのに日持ちしている、
何の肉か分からない串かつのような物などなど・・・
ジャンク極まりない物で育った放課後の僕。

あて物でゴムの昆虫シリーズが店に入った時には、
持ってきた有り金すべてを投げ打つ
破滅的なギャンブラーになってしまいました。
狙いはゴムで出来たリアルなカタツムリ。
かなりの金額を投資するもちっとも当たらず・・・
いつだって、ちゃちなバッタやクモばっかり当たってました。
それに昆虫シリーズのくせにしょうもないカエルなんか出て来た時は・・・
”大人ってなんてずるいんだろう・・・”
と、しょんぼり帰宅したものです。
そういえばあの頃から、僕の心は歪みだしたのかもしれませんね~





















インベーダーゲームが流行った頃、
そこの駄菓子屋にも1台だけゲーム台が置かれていたんですが、
何時も近所の子供で一杯で順番待ち。
やっと自分の番が来ても他の子にジロジロ見られて超キンチョー。
なんで、あっという間にゲームオーバー。
僕ってものすごくシャイだったんですよね~
結局流行っている間はインベーダーゲームはせず、
流行が廃れて誰もしなくなった頃に、
そこの駄菓子屋で独りでひっそり楽しんでました。
駄菓子屋のおばちゃんも気を利かせてか、
信用があったのかで奥で用事をしに行き、
僕を独りっきりにしてくれました。

冬には大きな鍋でおでんが煮られていて、
これまた僕を足げく通わせてくれました。
ジャガイモや、こんにゃく、ちくわ、
大好きなスジ肉はいつも少し多めに入れてくれたおばちゃん。

お葬式はそのおばちゃんの為のものでした。

最後に道で挨拶したのは1年ぐらい前です。
僕が子供の頃は大きかったおばちゃんは、
ものすごくちっちゃくて、
すっかりおっさんに成ってしまった僕のことを、
子供の頃と同じ呼び方で呼んでくれました。



















お通夜 は夜の7時からです。
たしか香典袋が少し残っていたはず。
探してみると3袋出てきました。
筆ペンもあります。
少し別のところで練習。
普段筆ペンなんて使わないから中々うまく書けないんですよね~
えいままよ!で、いざ本番。
ハイ失敗!
2枚目~
また失敗!
筆ペンもこしがなくて書きづらい!
気を取り直して3度目の正直。
なんだか微妙・・・
まっ、ヨシとするか。
で、裏に金額を書いて・・・
あつ!
5千円なのに図々しくも1万円て書いてもたー!!

もう6時30分なのに・・・
隣では参列者が集まりだしてます。
急いでコンビニに行ったんですがゴージャスな水引付きしかない。
2件目でシンプルな香典袋と筆ペンを買い大急ぎで帰宅。
隣からは坊さんの打つ鐘の音が・・・
ちーん、
ちーん、
あわてながら、さてもう一度。
うわっ、歪んだ!
ウムムム・・・
あわてるな自分
落ち着け自分!
再度もう一度。
またしても微妙・・・
隣ではウニャウニャと、お経が流れ出しました。
しょうがない、これでいいか。
裏に住所を書いて・・・
あっ!
実家の住所書いてもたー!
・・・・。
結局、計5枚の香典袋を無駄にしてしまいました。
さあっ、急いで着替えなきゃ!
ささっと喪服に着替えて!
ささっと、
ささっと・・・
・・・・・・・・。
ネ、ネクタイが・・・!
どうしてもネクタイの細いほうが長くなってまうー!
あれほど練習したのに!
窓から隣をみると、
ひゃぁ~っ!
親族の焼香が始まってる!
え~い、いてまえ~!!
バタバタと家を飛び出し、
あわてて受付に行くと
”香典辞退”の文字が・・・!
吉本新喜劇並みにずっこけそうになりました。

















いつまでもおばちゃんだと思っていたら、
94歳の大往生でした。
はぁ~~っ!
僕の倍以上生きていたんですね。
大おばあちゃんになって、
とってもちっちゃくなっても、
僕にはあの頃のおばちゃんとそんなに変わっていないように見えていました。

僕は好きだった過去の記憶で今を見ているのかもしれませんね。

ぎりぎりなケミカル駄菓子の味や、
店に近づくと漂ってくるおでんの香り、

あの頃のちょっとシャイで、
元気な胃袋を持ったわたしに~戻って~、

あなた~に 会いた~い♪










あの日にかえりたい 荒井由美